YouTubeで学ぶ

ワンちゃんに“お手!”教える(アメリカのドッグトレーニング)(2)

あなたの犬にお手を教える3つの方法

今回の話題は、ワンちゃん好きの皆さんに見ていただけるビデオです。

英語のビデオなので、字幕でビデオを見て下さい。
字幕で分かりづらい部分もありますので、ボクの解説も同時に読んで下さい。
このビデオは、アメリカのテレビで有名なドッグトレーナーである、ザック・ジョージがワンちゃんに”お手”を教えるという内容です。
前回、紹介した、ザックの「ワンちゃんに最初に教える7つのこと」に”お手!”が出てこなかったので、あれ!アメリカには”お手!”は無いの?と疑問に思い、調べてみました。
ありました! それが今回のビデオです。

6分30秒の短いビデオなので、見ているとすぐに終わってしまいます。しかし、ザックが速いスピードで切れ間なく話しているので、内容は大変充実しています。

原題は  ”3 Ways to Teach your Dog How to Shake”です。

それでは、ザックジョージのYouTubeビデオを御覧ください。

字幕をONにすることをオススメします。

(※前半はスポンサーになったクリッカーのメーカーの宣伝をしているようです。)

ビデオの内容を解説します。

 

今回のワンちゃんは、リッキージュニア

今回のワンちゃんの名前は、リッキージュニアです。(Ricky Jr.) オス犬です。
ザックは、ビデオの中で犬の種類を説明していません。
ぴんっ!と耳が立っていますが、ビーグル犬のように見えます。
ただ、リッキージュニアには悲しい過去があります。
リッキージュニアは、数週間前にニューオリオンズの動物保護施設に迷子の犬として助けらました。
でも、安心してください。
ちょうど、リッキージュニアを引き取ってくれる新しい人間の親が見つかったばかりです。
そこで、ザックは、リッキージュニアの新しいスタートがうまくいくように”お手!”をトレーニングすることにしたのです。

クリッカーを使ったトレーニング

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(クリッカー)(Wikipediaより)
今回のビデオの中では、クリッカーを使ったトレーニングが行われています。
クリッカーとは、手の中にすっぽり収まるサイズの箱で、ボタンを押すと”カッチ”という金属をはじく音が聞こえます。これを犬に対する合図として使います。
ビデオを見ている限り、クリッカーはけっこう大きな音を出していますが、リッキージュニアがこの音に驚いたり、怯えたりしている様子はありません。
ボクは、こんなカチカチやって、なんか強制的にやってるみたいで嫌だなと最初は思いましたが、これは間違った認識のようです。
ザックは、クリッカーを使用する目的を以下のように説明しています。
クリッカーを鳴らすことは、”よくやった!”(Good dog!)、ご褒美をあげるよ!”というメッセージを理解させる早い方法”
又、もっとわかりやすい説明もしています。
”クリッカーを使ったトレーニングにより、あなたのワンちゃんが正しい道に入った、その瞬間を正確に掴むことが出来るようになり、あなたがワンちゃんにやってほしいと思うことを素早く、自然に引き出すことが出来る。”
ビデオの中でザックが、リッキージュニアのほんのちょっとしたしぐさを見逃さずに、素早くクリッカーを鳴らす様子を見ながら、ボクはハッ!としました。
人間の時間と犬の時間は全く違うと聞いたことがあります
犬の時間は人間の時間より何倍も速い。
だから、人間のタイミングで”よーし!”とか言っても、
犬の意識はとっくに別のところに行ってしまいているので、何を褒められたのかがわかりにくい。
クリッカーを使えば、どの動作がが良かったか瞬間で伝えることが出来る。
その途端、ボクは、ザックがまるで、アメリカのコミックヒーローの”フラッシュ”に見えてきました。フラッシュは光の速度で移動することが出来るので、時間の壁を破って、未来や過去に行くことも出来ます。
ザックがやっていることは、まるで、ザックが犬の速度で未来に行ってしまった後に、ヒョイと人間の現在に戻ってきて、さっきはこいうことが起きたんだよ、と説明しているようです。
(※ザックは、別のビデオで”犬によっては、クリッカーの音が苦手な場合もあるので、別の部屋とか、すこし離れた場所でクリッカーを鳴らしてみて、犬の反応を確認してから、使用してほしいと言っています。)
(※人間時間と犬の時間の考え方については、「ゾウの時間ネズミの時間」本川達雄著、中公新書、をご参照ください。)

クリッカーとエサとの関係を明確にする

 

(”お手!”とすぐに言わない。)

まず、ザックがやっていることは、単純にクリッカーを鳴らして、ご褒美(小さなエサ)を上げることを何度か繰り返すことにより、クリッカーが鳴ると、エサが来るということをリッキージュニアに理解させることです。 この最初にクリッカーとエサとの関係を作っておくことにより、むやみに何度もエサを与える必要がなくなります。
事実、ザックがクリッカーを鳴らして、わざと、エサを渡すタイミングを遅らせると、リッキージュニアはクリッカーを見てから、それから、エサが出てくる方の別の手に視線を移して、じっと見ています。(ビデオの開始後2分50秒)
(ご褒美として使うエサは、他のビデオでも繰り返し言っていますが、本物の肉とか本物のチキンの肉を小さく切ったものが良いようです。 大きいと、ワンちゃんがすぐにお腹がいっぱいになって、トレーニングが続かなくなるからです。)

どうやって、リッキージュニアに”お手!”をさせたか?

ここから具体的に”お手!”の練習が始まります。
まず、最初にザックは、”ワンちゃんの前足を持って、持ち上げてもあまり意味が無い。”と言っています。
(ビデオの開始後3分)
この後、幾つかの方法を具体的にやってみせます。

足をコチョコチョする(ビデオ開始後3分7秒)

最初に試して見る方法として、”足の裏をコチョコチョ”をやっています。
コチョコチョやって、足がヒョイと上がった瞬間にクリッカーを鳴らして、すぐにエサを与えています。 リッキージュニアは足があがった途端、クリッカーが聞こえたので、すぐにザックの手元を見ています。(この段階ではまだ”お手!”を言いません。)

”おすわり”すると足が上がり易くなる(ビデオ開始後3分20秒)

次に、まず、エサを高く掲げます。すると、犬は上を見ないといけないので、自然とおすわりをします。(座ったらすぐにクリック!してエサを与える。)
それから、座っている姿勢のまま、エサをリッキージュニアの頭上にもっていきます、リッキージュニアは上を見ながら、姿勢を崩しそうになって、思わず、左手を上げてしまいます。(すぐにクリック!でエサを与える。)(エサを与える時に褒めても、”お手!”はまだ言わない。

子犬は足を出して触ろうとする(ビデオ開始後3分40秒)

次は、もう少し、効果的な方法に進みます。
子犬は好奇心が豊かなので、前足を使って色々なものに触ろうとすることがあります。
エサをワンちゃんに見せておいて、少し高い位置で、わざと手を閉じて、待ってみましょう。リッキージュニアは待ちきれない感じで、右手をザックのエサの入った手にふれようとしました。(すぐにクリック!でエサを与える。)(ここで、初めて、手を出したタイミングで”お手!”と言います。
エサをすこし高めに掲げ、ワンちゃんが手を出すのを待ち、エサに触れようと手をだしたところで、クリックをして、エサを与えることを繰り返します。(毎回、”お手!”もいっしょに言います。)
ここで、エサを持たずに、空っぽの手をリッキージュニアの前に広げて、”お手!”と言います。リッキージュニアは手のひらにエサが無いのを見て、少し考えている様子ですが、ここで”お手!”を繰り返さずに手を出したまま待ち続けます。やがて、リッキージュニアは手をぱっと、ザックの手に乗せます。
ここで、エサを与えます。”お手!”をしたら、エサが来ることを理解させる訳です。。この後は同じことを繰り返します。
リッキージュニアがちょっと考えてから、”お手!”をする様子には感動しますね。

英語学習者向けコメント

 

語彙は簡単なのに、聞き漏らす

コマーシャルの部分を聴きながら、「英語では、クーポンじゃなくて、キューポンって発音するんだ!」って、割と呑気に構えていたら、ザックのビデオはなかなかの強敵だということにだんだん気づき始めました。
ザックのビデオは、ライブ感たっぷりで、脚本を準備してやっている感じじゃない。
目の前でせわしなく動くリッキージュニアの相手をしながら、カメラに向かって、”お手”を教えるという目的にたどり着かないといけない。だから、とにかく忙しい。
ボクは、ザックの話を正確に理解しようとして、自動生成の英語字幕をノートに書き写しているんだけど、ザックがとにかく、しゃべり続けているので、話の切れ目が探せない。
よっぽど英語を聞き慣れていないと、ザックの言っていることの半分は聞き落としてしまう。
”お手!”を教えるというシンプルな目的だから、ビデオを見れば、理解出来た気になります。でも、その後、何回もビデオを繰り返し見ていると、毎回のように、聞き漏らしている部分を新たに見つけます。ザックの話には、難しい語彙はほとんど出てきません。
なのに、なぜ、聞き漏らすのでしょうか?あるいは、一言も漏らさずに聞き取れた、という人がいるとしたら、聞き取れた人と聞き取れなかった人の違いはいったい何でしょうか?

主な単語リスト

get him off:
corresponding :
shake hands:
give paw:
traction:
bring out:
inside out:
go about:
trickle:
go over another way:
lure him off the ground:
inquisitive:
interact with the world:
pawing at the treat:
acknowledge:
the clicker goes off and I get paid:
muddying up:
dextrous dog:
はい。今日はここまでです。

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